anezakimanのアブダビ日記

アラブ首長国連邦アブダビ首長国に駐在になりました。そこで出会ったことを綴ります。

UAE-CHINA WEEK

今週木曜日から3日間、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席がUAEを来訪しており、今週は UAE-CHINA WEEK となっている。アブダビ・ドバイの両シェイク・ムハンマドと習主席の連日の面談、両国間での13の契約書やMOUのサイン式、軍の歓迎式典、アブダビでの歓迎エアショー、ファーストレディのルーブル・アブダビ見学の様子など、新聞は連日の大報道である。街中も市外の田舎でさえ、赤ののぼりや看板で溢れている。

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 驚いたのは、昨晩知人との会食で市内に行ったら、Adnocの本社ビルがこんな感じでライトアップされていた。

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安倍さんのときは何かあったっけなぁー(苦笑)。

もちろん、日本と中国とでは勢いの違い、世界政治・経済に及ぼす影響が違う。また、中国側もUAE1か国だけに世界2位の経済大国国家リーダーが丸々3日訪問するのは最恵国待遇と言っていいだろう。彼らもUAEのエネルギー確保やロジ上の戦略性を十分認識している。ちなみにUAEにおいては在留ベースで日本人3,800人、中国人200,000人と50倍強違う。

それでもどうしてUAEがここまで中国に気を遣い、歓待するのか、ちょっと考えてみた。

  • もちろん最大の理由は中国マネーだろう。一帯一路(One Belt One Way Initiative)の旗印の元、中国は政府系、民間系に係わらずこの地で多くのお金を投資している。Adnocの海上鉱区しかり、港湾運営しかり、工業団地しかり。
  • そして中国はUAEにとり最大の石油ガスの販売先の一つであり、これからも当面伸びていくだろう。石油産業が最大のキャッシュカウのUAE(特にアブダビ)にとり、最優遇すべきお客様と言える。
  • リーダーが主導する一党独裁という政治形態も似通っているように思える。世界中で民主主義がチャレンジを受けている中で、UAEも中国もリーダーがこれやるぞと言えば、誰も文句つけずにそのまま実行される可能性が高い。一方で民族内、部族内の権力闘争は激しい。足元UAEは安定しているが、民族内での権力闘争、クーデターによる権力奪取の事例は多い。その政治形態的・リーダー資質的な親和性も両国が引き合う要因かも。
  • 歴史的にも、両国は規模こそ違え、他民族や他部族と戦い、征服して征服されてきた。民族(漢民族)や部族(アブダビ首長国のナヒヤーン家やドバイ首長国のマクトゥーム家)の誇り、自決を大事にする価値観も共通か。
  • とどのつまり、今の米国の中東におけるリーダーシップ、イニシャティブが不在のなかで、ある意味世界でもっとも国家主導資本主義が機能している中国との友好的な外交関係、経済関係は、中東の小国であるUAEにとって死活問題だろう。

改めてUAEという国の冷静さ、冷徹さ、現実主義的な凄みを覚えてしまう。一方、国家レベルではそうだが、個人レベルでは必ずしもそうならないところが面白い。

今週、大手準国営系企業のエミラーティ幹部とランチを共にしたときの話。彼は大の日本通、日本好きで来日経験が十数回に及ぶという。彼曰く、日本人は好きだが中国人は嫌い。その理由を尋ねると、街で道を聞くと、日本人は英語ができなくとも数百メートル先まで一緒に行ってまで道案内しようとする、一方で中国人は英語ができても知らない、知らないと言って早く立ち去ろうとするからだと。

この方の体験の統計的真実性がどうかは別にして、そう思っていただいているのは大変ありがたいことである。これまでも日本好き、日本シンパの多くのUAE人に出会ってきたのも事実である。日本人はこの個々人の親切さ、人をリスペクトする気持ち、思いやり、ホスピタリティーで生きていくんだろうね。