anezakimanのアブダビ日記

アラブ首長国連邦アブダビ首長国に駐在になりました。そこで出会ったことを綴ります。

アルメニア共和国旅行記

アルメニア共和国に行ってきた。初めてのUAE国外旅行である。アルメニアにしたのは、特に深い意味があったわけではない。周りの日本人に聞くと、いわゆるコーカサス諸国に行ったことのある人の大半は、ジョージア(グルジア)であった。 

俺もそう思っていたが、ネットで安いチケットを探しているうちに、アルメニアの首都、エレバンへの往復チケットと三つ星のホテル2泊3日で、AED1,400(約42千円)というのを見つけた。アルメニアは世界で初めてキリスト教を国教に定めた国(西暦301年)で、エレバンは世界最古の都市の一つということを知り、歴史や文化が深そうと思ったこともあった。

金曜日の朝、LCCのエア・アラビアでシャルジャ空港から飛び立ち、3時間ほどでエレバンに着く。今回は事前にいろいろ調べて周到な計画を作ることなく、基本行き当たりばったりで旅することにした。

小振りなエレバン空港でチキンとボルシチの昼食を取った後、案内のお姉さんに市内への行き方を聞くと、エクスプレスというバスが安くて便利とのこと。素直に従って乗合いバスで市内中心部の共和国広場へ向かう。120円ほどだった。ホテルの位置はそこから少し北方にあったので、そこからタクシーでいったん宿に入る。この日は市内散策と決めて、ウォーキング仕様に着替えて再び市内中心部に向かって歩き出す。

気温20℃前半、爽やかな初夏の青空が広がるなか、機嫌良く坂道を歩いているうちに巨大な像が目に入り、そちらに向かう。ヴィクトリー・パークと称する広い公園の端っこに鎮座してあったのは、高さ51mのマザー・アルメニアと称する女性像であった。この下にちょっとした博物館があり、第二次大戦の記録と、アルメニアと隣国アゼルバイジャンとの紛争の記録が展示されてあった。

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久しぶりに大規模な像を見た。イスラームでは偶像崇拝禁止なので、この手の像は見ないが、旧ソ連国家にはこうした巨大像があちこちにあったことを思い出す。

さらに歩みを進めて市内の有名どころを見て回る。カスケード・コンプレックスという階段状の広場の上からの写真。ここから降りて真っ直ぐ行くと、オペラ劇場、ノース・アベニュー、共和国広場など、エレバンの目抜き通りが広がる。

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カスケード・コンプレックスの下からの写真。タバコを吸う女、というオブジェがコミカル。こうしたオプジェがあちこちに。

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ここで女性グループのヨガ実演に遭遇。

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こんなに多くの若い女性を久しぶりに見て、ちょっと感激(笑)。アルメニア女性は美人が多いという説があるが、確かにこの3日で見かけたアルメニアの女性はとても綺麗で魅力的。私見だが若い女性の90%は美人と思えた(もっとも女性を見る機会の少ないUAEで判断基準が低下しているという説も)。

共和国広場。夜7時前なのにまだ青空が広がる。この時期、日没は8時過ぎ。

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夕食をシーフードレストランで、白赤ワインで取った後、ふたたび共和国広場に戻って、有名な噴水ショーを見学。水と色と音楽の見事な競演を楽しむ。

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この日はこれで終わり。明日の過ごし方を帰途のタクシー運転手に相談してみると、山の方への半日コースのドライブを勧められ、乗ることにした。

翌日も快晴。朝8時半に宿を出てトルコ国境方面目指して南下。アルメニアのワイン畑の向こうにくっきりと見える山並みはまるで富士山が2つあるよう。トルコ領にあるアララト山で、旧約聖書のノアの方舟がたどり着いたとされる山として有名。

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右に見える建物が本日の最初の目的地、ホルビラップ修道院(Khor Virap)。その歴史は紀元前180前後まで遡るという。

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さらに山道を車を走らせること2時間。まるでアルプスの少女ハイジの故郷のような素朴な自然が広がるなかに、最終目的地のノラヴァンク修道院がある。

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片側が断崖絶壁になっていて、若者が嬌声を上げながら端を歩いている。写真じゃ分かりずらいけど、本当に怖い。

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ここの修道院は11世紀に建てられ、「愛の修道院」と言われているとか。周りを散策していたら、緑色の蛇が草をなかをスルスルと通っていった。

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帰途、修道院近くのワインセラーに寄って、ワインを試飲する。アルメニア人、ロシア人、ウクライナ人の旅行者と仲良くなって白赤ワイン、フルーツワイン、ウォトカを調子に乗って何杯も飲んでやや酔っ払い状態に。

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午後2時過ぎにホテルに帰り、ちょっと休憩後、また歩いて街に出かけて、アルメニア居酒屋で夕食。

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名物の豚肉をビール、赤ワインで味わう。

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その後、日本人コックがいる櫻田という和食店に寄ってだし巻き卵、タクワンを肴にふたたび赤ワイン。そこに来ていた日本人若者旅行者二人と旅話で盛り上がり、夜10時まで。

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最終日はアルメニアの歴史をたどったアルメニア歴史博物館に行く。この国の紀元前を中心とした膨大な歴史文化資産に圧倒され、またアルメニア人虐殺の哀しい歴史を知る。

いったん近くのアルメニアレストランでラムとアルメニアン・サラダでランチ。サラダがシャキシャしてとても美味。やはり赤ワインは欠かせない。

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最後の訪問先はアルメニア人虐殺の慰霊碑と博物館のあるアルメニア・ジェノサイド・メモリアル・コンプレックス。エレバン市街を見下ろす高台の森のなかにあって、慰霊の火の周りに大勢の人が集まっている。黙祷。

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偶然出かけることになったアルメニア共和国。

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小国で近隣の大帝国に翻弄されながらも、独自の文化、言語を背景として時には豪華絢爛な歴史、時には民族消滅危機の歴史を刻んできた国。コーカサス地方の豊かな自然のなかで、6千年前にワイン作りを始め、多様な食文化を誇る国。人懐こくてフレンドリー、美人が多い国。いやー、参りましたね。120%満足して帰って来ました。また行こっと。