anezakimanのアブダビ日記

アラブ首長国連邦アブダビ首長国に駐在になりました。そこで出会ったことを綴ります。

「坂の上の雲」ワールド

昨年8月のこの時(凛として旅立つ - anezakimanのアブダビ日記)以来、NHKで10年ほど前に放映されたドラマ、「坂の上の雲」をもう一度観たいと思い続けてきた。それ以降、俺の散歩中の愛唱歌は、「三百六十五歩のマーチ」から同ドラマの主題歌、「Stand Alone」に変わった。

従って今回の帰国中の To Do List のトップ項目は、このドラマを再び観ることだった。


NHK大河ドラマ枠で2009年から3年間に渡って、12月中だけ放映された司馬遼太郎原作の超大作歴史ドラマ。1話1時間29分、全部で13話。Amazon Prime経由でNHKオンデマンドとスポット契約してこのビデオ配信をPCで取り込み、PCを自宅のテレビにつなぐ。帰国前半の1週間は、このドラマを見続けた。

愛媛松山藩城下での秋山好古・真之兄弟、正岡子規の幼少時代から始まり、東京での真之、子規の学生時代と青春交流、好古の陸軍生活と日清戦争、真之の海軍入りと成長、日英同盟、子規の死去、そして最終章の日露戦争では広瀬武夫の戦死、旅順総攻撃、二百三高地での激戦、フィナーレの日本海海戦まで、この荘厳無比な歴史青春ドラマを、時には歓声を上げ、時には涙しつつ、見終わった。

幾多の困難に直面しながらも、過去の日本のどの時代にもなかった明治という時代の楽天的気質、前をのみ向いて走り続けるひたむきさ、明快さ。その一方で帝国主義下の弱肉強食の中での国家的危機意識と、国民一人ひとりの使命感と情熱。日本という若い近代国家誕生の過程での人間群像が、光り輝くほど見事に描かれている。

これを観ずして(もちろん小説全8巻を読んでも良いけど)近代日本の歴史を誇りを持って語れるかということであり、全日本人必見であろう。この興奮の勢いをかって、外出解禁となった本日、ドラマの最終舞台となった日本海海戦の連合艦隊の旗艦、三笠の実物展示博物館である記念艦三笠(神奈川県横須賀市)に行ってきた。家から車で30分ほどである。

気温18℃と異例な暖かい日本晴れの中、勇壮な戦艦と日章旗が映え渡る。

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実物の戦艦三笠であり、東郷平八郎連合艦隊司令長官や秋山真之主任参謀が実際に日本海海戦で指揮したデッキがある。ここからバルチック艦隊を見据えたのである。

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艦内は博物館となっていて見どころ満載。敵艦隊発見との無線を受けて、三笠から東京の司令部に打った無線電文。有名な「本日天気晴朗なれども波高し」。

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こちらは出撃直前。「皇国の興廃この一戦にあり。各員一層奮励努力せよ」。

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ドラマを観た直後の現物見学なだけに、いろいろなシーンが臨場感たっぷりに蘇ってくる。映像と本物を通じて、念願の「坂の上の雲」ワールドに浸ることのできた、充実した日々でありました。