anezakimanのアブダビ日記

アラブ首長国連邦アブダビ首長国に駐在になりました。そこで出会ったことを綴ります。

英国女王陛下追悼

英国女王、エリザベス2世がお亡くなりになった。俺はイギリスには浅からぬ縁がある。生まれて初めてパスポートを作って海外に行ったのが29歳の時。イギリスへの傷心旅行であった。そこで過ごした10日間は俺の目を海外に開かせてくれ、スコットランドの自然と人々との交流が心の傷を癒してくれた。

35歳の時に、初めての海外駐在で英国ロンドンに渡った。そこで家族と一緒に過ごした4年間は、今振り返ってみても俺の人生の黄金期だった。

この間、女王陛下との謁見のチャンスは無かったが(当たり前)、ウィンザー城に観光に行った際に旗が掲げられていて、それは女王がウィンザー城在住の証と聞いていたので、500メートル以内の至近距離にはおられたはずだ。

そして俺が現在住んでいるこの国も、1971年まではイギリスの保護領だった。いろいろな点で英国の影響が残っている。

そんな人生にゆかりのある英国の君主である女王がお亡くなりになった追悼として、またその足跡を改めて振り返るため、ネットフリックスの『ザ・クラウン』を観ることにした。

現在4シーズンまで公開されていて、1シーズン10話、1話約60分、全部で40時間という超ロングランである。俺は以前全シーズン全話観ていて大ファンとなり、11月に公開予定のシーズン5を楽しみにしていたところだった。これをもう一度通して鑑賞しようということである。そして先週と今週の週末ほぼ4日間全部使って見終えた。

これまでのシリーズは時代的には主に1950年代から1980年代までをカバー、最後はチャールズ皇太子とダイアナ皇太子妃(これがめっちゃ似ていて可愛い)の離婚不可避状態で終わっている。今回見直してみて、改めて故エリザベス2世の波乱に満ちた人間ドラマ、戦後の英国の大英帝国から凋落した苦難の歴史劇に魅了された。

次々に発生するロイヤルファミリーの家庭問題。不倫、別居、離婚。まさにドロドロした人間関係、愛憎劇。日本の天皇家のマスコミが追っかけている出来事など、取るに足りないことに思える。

チャーチル、ウィルソン、サッチャーなどの著名政治家の政治劇も刺激的だ。足の引っ張り合い、権力闘争、口角飛ばしての罵り合いなど、激しく苛烈だ。スエズ運河国営化、フォークランド戦争、南アフリカのアパルトヘイト廃止を巡る女王とサッチャー首相の対立、サッチャー首相の身内の裏切りによる退任劇など、歴史的イベントも豊富でリアリティに溢れている。

ロンドン郊外に住んでいたので、主な舞台となったバッキンガム宮殿、ウィンザー城、ダウニング街10番地(首相官邸)などの土地勘があるのも楽しい。女王が最期の時を迎えたスコットランドのバルモラル城は、当時よく出張に行っていたアバディーンから車で1時間ほどのところにあったことに今回気付く。

ちなみに日本人が2回出てくる。1回は昭和天皇・皇后のウィンザー公爵訪問、もう1回はバルモラル城近くで狩りをする日本人観光客。どちらもあまり格好よく描かれていませんが。。

70年の君主在位中、厳しい英国内と世界の状況の中で、英連邦をつなぎとめ、世界中から敬意と尊敬を集め、日本と引き続き友好な関係を築く一助となったエリザベス2世に心から弔意を表したいと思う。長い間、本当にお疲れ様でございました。フィリップ殿下とともに、安らかにお眠りください。