anezakimanのアブダビ日記

アラブ首長国連邦アブダビ首長国に駐在になりました。そこで出会ったことを綴ります。

イタリア共和国シチリア旅行記

毎年12月初めに来るUAEの最長連休シーズン。年によって違うが、今年は12月1日から4日までの4連休であった。さらに1日年休を加えて5連休とし、久しぶりに欧州の旅に出かけた。イタリアのシチリア島である。

俺のお気に入りのLCC、WIZZ AIRがアブダビからシチリア島東岸の都市、カターニアまで片道5-6時間の直行便を週2便飛ばしている。料金は往復で約AED 1,000、4万円ほどであった。今回は同好の士を募ったところ、Sさんが参加してくれたのでオジサンの二人旅となった。

シチリア島と言えば、ワイン、オレンジなどの柑橘類、マフィアの地くらいしかイメージはなく、いつも通り『地球の歩き方・南イタリアとシチリア』を参照しつつ、下記2冊の書籍で歴史や文化の知識を仕入れる。

最初の本にいわく。

シチリア は地中海を通路として、西と東、ヨーロッパとアフリカにつながっている。その 開放的な地理的環境ゆえに、古代から今日にいたる まで、あまたのよそ者が絶えることなくシチリアに侵入し た。

歴史的に多様な人種や文化が混在する、「 カオス」とさえ形容されるシチリアは、知的好奇心を搔き立てる特別な場所、トポスである。それこそがシチリアの魅力に他ならない。

あまたのよそ者とはなんと13の民族、地域、国家であり、この国の支配者の交代でまとめると次のようになるという。

1. ギリシャ人植民市→2. カルタゴの支配→3. ローマの属州→4. ゲルマン人の支配→5. ビザンツ領→6. イスラームの支配→7. ノルマン・シチリア王国→8. ホーエンシュタウフェン家(ドイツ)→9. アンジュ―家(フランス)→10. アラゴン家(スペイン)→11.スペイン領→12. イタリア王国→13. 連合国占領を経てイタリア共和国

誇り高きシチリア人にとっては、本国のイタリアさえもよそ者という感覚があるという。そんな知的好奇心が湧いてくるシチリア島(正式にはシチリア特別州)のメインの3都市(パレルモ、アグリジェント、シラク―サ)を、4泊5日の弾丸ツアーで廻ったのである。

12月1日(木)

連休前の仕事集中に加えて、前日までほぼ毎晩の宴会で疲労気味なるも、出発便が夜21時15分アブダビ空港発だったので、その前に体操、海岸ラン、Yas島サイクリングでしっかりと整え。ほぼ予定通り出発して夜中1時前にカターニア空港に到着。ここでサッカーワールドカップの日本の対スペイン逆転勝利を知って大喜び。この日は空港近くのホテルに泊まる。

12月2日(金)

朝からさっそく行動開始。空港に戻ってプルマンと呼ばれる高速バスに乗り込む。カターニアは火山で有名なエトナ山のふもとに位置しており、空港からもくっきりと見える。

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2時間半ほどでシチリア州都であり最大都市のパレルモに着く。ホテルにチェックイン後、近くの簡易市場をぶらつき、さっそく屋台風シーフード店に腰を落ち着ける。

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スペイン戦の勝利を祝い、幸先の良い旅のスタートに白ワインと牡蠣やイカ焼きなどで乾杯。

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ランチ後、ホテルで紹介してもらったシチリア人女性ガイドさんとともに市内ウォーキングツアー。豪華絢爛なキリスト風、イスラーム風、その混合、そしてバロック風文化財に目を見張る。

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ツアー後、レストランが開く19時までカフェで赤ワイン。夕食はもちろんシーフードレストランで、ムール貝のスープ、シーフードパスタなど。2人で赤ワイン1本空けて、さらにバーに寄ってレモンチェロのカクテル。千鳥足状態で何とかホテルにたどりつく。。

12月3日(土)

朝、海岸近くを散歩したのち、前日と同じようにバスターミナルから高速バスに乗り込み、アグリジェントという南側の世界遺産都市に向かう。昼前に到着し、さっそくランチ。ここでもシーフードパスタ(さすがにワイン抜き。。)、とても美味。

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旧市街の入り組んだ街路にあるB&Bにチェックイン。

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昨日のパレルモのガイド女史から紹介してもらった別のガイド女史と合流して、さっそく古代ギリシャ遺跡巡りのツアー。2500年前にタイムスリップしたような数々の神殿が、緑豊かな高台に鎮座している。

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宿に戻り、旧市街を地元ビールでのどを潤わせつつぶらついた後、

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お楽しみのディナー。ここでもシーフード三昧。この3品が絶品で白ワインが進む。

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デザートのティラミスとレモンアイスも手作り感たっぷりで美味。

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こうして2都市目も順調に満了。

12月4日(日)

朝、B&Bの見晴らしの良いテラス席で地元のパン中心の朝食。

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3日目も同様、駅前のバス停からバスに乗り込み、カターニアを経由して最後の宿泊地、シラク―サに着く。ここはギリシャ時代にはギリシャの都市国家含めても最大級に栄えた都市だったという。

その時代の中心地であったオルティージャ島の手前にあるホテルに入り、島の野外レストランでまずはランチ。ワンパターンながら、ここでもシーフートパスタの魅力に抗しきれない(苦笑)。

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3都市目もパレルモのガイド女史からの紹介で、地元ガイド女史によるウォーキングツアー。残念ながらギリシャ劇場や考古学博物館は午後休館だったので、島中心に観光。島の入口にはこの地で生まれ、数々の科学技術でこの地に貢献したアルキメデスさんの銅像が迎えてくれる。

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ここでも豪華絢爛の遺跡や史跡の数々にもはや圧倒されるのみ。

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最後の晩もシーフード中心。帰途、中華料理屋を見つけて、思わずしめの一杯でラーメンを頼んでしまう(苦笑)。まあまあ食べれました。

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12月5日(月)

最終日。朝、再び島に戻って市場や海岸沿いを散歩。

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朝、バスでカターニア空港に戻り、無事12時10分発の帰国便に乗る。雄大なエトナ山が見送ってくれる。

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夜20時過ぎにアブダビ空港に到着。ちょうどこの時も日本とクロアチアの試合で、あわよくば到着時にまた吉報と願ったが、今回は延長戦後のPKで惜しくも敗退。こちらは願った通りに行かなかったけど、今回のシチリアの旅自体は120パーセント満足の充実した旅でありました。

最後にシチリアの魅力を俺なりにまとめると。

1.多様な都市群。都市ごとに入ってきた”よそもの”とその時代や影響度合いが違っており、ギリシャ(ビザンツ)、ローマ(キリスト教)から、イスラーム、ノルマンやバロックなど多様かつ混在した文化芸術品が満載。

2.主要都市間に張り巡らされた高速バスがとても便利で快適、且つ安価(10-15ユーロ程度)。移動中の車窓の景色がまた自然いっぱいで素晴らしい。

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3.個性豊かなガイド女史。今回、3都市すべてで地元の(たまたまであるが)女史ガイドさんに案内してもらった(3時間前後で150ユーロ)。この3人がとても熱心で個性的。パレルモのBarbaraさんは独身で3人の子持ち。

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シチリアの歴史や建造物の説明の際には、いつも私たち(We)と言ってシチリアとの一体感を強調する根っからのシチリア精神の持ち主。

アグリジェントのIreneさんは、9か月前に一人息子さんを事故で亡くされて大ショックながら、今はたくましくガイドに復帰。分かったか、分かったかと繰り返し説明してくれる。

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シラク―サのElisaさんはプロフェッショナル意識満々の熱心ガイド。

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3人からは観光以外にも日常的ないろいろな話が聞けた。

4.言うまでもなく、食事の美味しさ、ワインの奥深さ。どこに行っても外れなし。

5.7-8月の観光ハイシーズンはどこに行っても混雑らしいが、今回はどこもガラガラ。日中の気温も15-18℃で、アブダビ人としては少し肌寒いが、天気にも恵まれて爽やか快適。オジサン旅はローシーズンが狙い目だろうね。

というわけで、シチリアに恋した気分だねえ。また来なくっちゃ。

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