仏教に帰依中
日本は黄金週間真っ只中で、お出かけなどコロナ明けの休日を楽しんでいることだろう。こちらはと言えば、通常通り仕事を淡々とこなしつつ、毎朝座禅で瞑想を深め、体操、海岸ラン、仕事後のサイクリングとせっせと体を動かし、そして夜は酒も飲まずに一人で家で読書三昧。まるで修行僧のようだ。
そう、実は今、仏教にはまっているのだ。そもそも当地のラマダーン月で宗教心を高めようとクルアーンを読み始め、関連する宗教本を読み、たまたまラオスに行くことになったので、仏教関連の本を読み始めたら止まらない。Kindle Unlimitedなども最大限活用してここ数週間で読んだ本。
- 般若心経(佐々木閑)
- 仏教・神道・儒教集中講座(井沢元彦)
- 浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか(島田裕巳)
- ブッダ・全14巻(手塚治虫)
- 大乗仏教 ブッダの教えはどこへ向かうのか(佐々木閑)
- 本当の仏教を学ぶ一日講座 ゴータマは、いかにしてブッダとなったか(佐々木閑)
- 真理のことば ブッダ(佐々木閑)
- ブッダ伝 生涯と思想(中村元)
日本人の宗教に関する意識、関心は低い。俺もこれまでは冠婚葬祭のときだけちょっと意識する程度で、まったく興味が無かった。2の本によると、織田信長が比叡山延暦寺の焼き討ちや一向一揆の徹底排除を断行したことで宗教の政経分離が早い時代にしっかりと行われたこと(欧州ではさらに2世紀かかったと)、徳川家康時代に確立した檀家制度でお寺さんは何もしなくとも門徒が固定されて営業努力をしなくなったこと、さらに明治維新後、政府が推進した国家神道・廃仏毀釈で仏教全体に逆風が吹いたことが背景だという。
加えて太平洋戦争後は、天皇を神とした国家神道的イデオロギーの徹底排除というGHQの方針もあり、学校教育で宗教を扱わなくなったなど、言われてみれば納得の歴史経緯があったのだ。
改めて上記書籍で仏教に触れてみると、仏教と言っても多種多様で、世界的には原始仏教、上座部仏教、チベット仏教、大乗仏教、そして日本でメインの大乗仏教にも有名なものだけでも天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、曹洞宗、臨済宗、日蓮宗など、小さいものも入れたらさらに増える。
仏教全体の歴史もなかなか興味深い。約2500年前にインドでブッダが始めた仏教だが、インドでは既存宗教のバラモン教が発展進化したヒンドゥー教に押されて廃れたが、スリランカやタイ、カンボジア、ラオスではしっかりと定着し(上座部仏教)、一方である種の宗教改革で枝分かれした大乗仏教が中国経由で日本や韓国に伝わった。
日本では飛鳥・奈良時代の鎮護国家としての仏教から始まり、平安時代の貴族の庇護により花開いた仏教信仰と荘厳な文化、鎌倉時代の武家精神にマッチした禅宗、一般大衆向け救済としての浄土宗・浄土真宗など、その時の時代背景にマッチした様々な宗教思想が展開していて、知的好奇心をくすぐるのだ。
そして21世紀前半の混とんとした時代、混迷かつVUCAの状況下、心が不安になりやすい今、仏教が見直されているという。それも念仏を唱えさえすれば救われるといった大乗仏教的な教えではなく、お釈迦様(ブッダ)がそもそも主張した原始仏教(厳密には同じではないらしいが、基本上座部仏教)が世界的に人気を博しつつあるらしい。
俺もまずは上記書籍のなかの手塚名作漫画である4のブッダ本で始祖の人生と考えに触れ(アジア旅行の前と後で全14巻を2回読んだ、面白い)、一連の佐々木本(この方は京大理系修士を出たあとで仏教の博士号取得、現在は花園大学教授。実家が福井の浄土真宗のお寺、大学は禅宗臨済宗の大学、そしてご本人はブッダベースの原始仏教を支持中という、多様な仏教を象徴するような御仁)でブッダの思想にはまりつつある。
現在修行を始めたばかりであり理解したとは言えないが、俺なりに共感したポイントは
- 人生は山あり谷あり、あらゆるものが変化する諸行無常の世の中であり、本質的には老病死に向かって進む道、安逸にはいかない、一切皆苦と心得るべし。
- 諸法無我、自分自身のあるべき究極の自己などない、周りの人間・生きものとつながって初めて存在しているもの、謙虚であるべし。
- あらゆる結果には原因があるという因果律、因果応報。起きたことはすべて自分の責任、言い逃れしない。
- こうしたなかで、悟り(心の安逸)を得るためにはあるがままに自分と人間を見つめ、ブッダの教えに従って叡智を目指せ、真理を求めよ。頼るものは自分と(合理的分析的)仏法だけである。自己鍛錬に努めよ。
全体的に自立心に満ちた自己鍛錬を求めており、厳しい内容だが潔さも感じられ、心のありようを変えるきっかけになる予感がしている。また、ここ1か月内の異国、異宗教環境下での偶然とも言える仏教との出会いに、お釈迦様のご意思すら思ったりする。出来れば近いうちに仏教の最大の聖地、インドのブッダガヤ周辺にも行ってみたいと考えている。
お釈迦様、ブッダ様、今後ともご指導、お導きをよろしくお願いいたします。
(ラオスのお土産屋さんで買った仏像)
(ビエンチャンでの敬虔な仏教徒との出会い)