anezakimanのアブダビ日記

アラブ首長国連邦アブダビ首長国に駐在になりました。そこで出会ったことを綴ります。

ラマダーン週末

この週末は今年度最後のラマダーン週末。そして俺にとっては最初で最後のラマダーン週末となった。会社に行かずに家で一人でいて断食ができるのか、朝の散歩とどう折り合いをつけるかという心配はあった。

結局のところ、朝いつも通り散歩してからゆっくりしっかり朝ご飯を食べ、日中は読書三昧で過ごし、無事に日中の断食は遂行できた。しかしながらお酒は初日は飲まずにいられたが、2日目の本日はビール、焼酎を飲んでしまいました。。

2日間の日中に読んだのは、日本で買ってきた以下の3冊。

経営者:日本経済生き残りをかけた闘い

経営者:日本経済生き残りをかけた闘い

 
不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書)

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書)

 
誰がアパレルを殺すのか

誰がアパレルを殺すのか

 

『経営者』は、日経記者出身の経営者論。「戦後の経済史、経営史を考える上でこれだけは外せないと思うもの、そして私にしか書けないニュースが含まれているものを選び、経営者の視点から後期渋沢資本主義の物語としてブラッシュアップした」。かなりの部分、想定の範囲内であったが、実際に経営者に直接会った故に出てきた秘話あり、世間の評価とは違う辛口の論調があったりと、まあ楽しめた。

『不死身の特攻兵』は、9回特攻に出撃して、9回生きて帰ってきた人の実話物語。あの戦時下の軍隊という環境、組織のなかで、どうしてそんなことが可能だったのか、著名な劇作家がご本人へのインタビュー含めて迫る。戦時中の日本の組織問題を鋭く指摘した『失敗の本質』、あるいは特攻隊教官の苦悩を描いた『永遠のゼロ』にも描かれた日本の精神論、竹槍戦法的な思考停止が生々しい。

『誰がアパレルを殺すのか』。物騒なタイトルだが売れていて、俺の敬愛するちきりんさんの「変われない企業、変われない産業にいる人必読!」という帯タイトルにも惹かれて手に取った。

アパレル産業が内包する問題は多くの日本企業に共通する。高度経済成長期を忘れないまま、バブル崩壊やデフレと行った環境変化を直視しようとしなかった。場当たり的な対処を続け、気が付けば業績不信は深刻さを増していった。それでも業界内のライバルとの競争ばかりに明け暮れ、時代から取り残されていった。痛みを伴う改革を避けひたすら現状維持に固執する思考停止の姿勢が、今、この瞬間もアパレル業界を窮地に追い詰めている

といった、我が産業、会社への教訓論として耳の痛い指摘が随所にあり、改革魂が掻き立てられた。アパレル業界の最新動向も興味深かった。

ラマダーンとは本来自分を見つめ直す機会でもあるそうだ。そのための貴重なインプットができた週末であった。

ラマダーン日常

アブダビに戻ってきた月曜日の晩、日本で買い込んできた食材を中心に、自宅でまたイフタール的宴会を開催した。今回は長期出張者帰国の送別会も兼ねて社員関係者7名での会となった。

食材は、セブンイレブンのおでんパックをベースにちくわ、豆腐、こんにゃく、キノコを追加投入して作ったおでん鍋、ソーセージ、枝豆、サバ缶、刺身こんにゃく、漬物、サラダなど。日本の何気ない酒の肴が妙に美味しく、これらをつまみに、ビール、ワインがいつも通り順調に消費されていく。最後は当地で買っておいたカトキチの冷凍うどんを食べ、食後酒としてサントリーウィスキー知多でしめ。

今回は会社の方向性、技術論で盛り上がった。昼間断食して夜飲み食いすると、普段の宴会よりテンションが上がるようだ。

火曜日は久しぶりにヤス・マリーナサーキットでのサイクリングを決行。お昼抜きでお腹空かしたまま、38℃、湿度50%の熱帯夜のなかでペダルを漕ぐ。さすがに人は少なく、俺もいつもの半分、3周でギブアップ。それでも汗が滝のように噴き出す。

水曜日はシェイク・ザイード・グランドモスクで実施されているイフタールに参加した。ラマダーン期間中の毎夕、およそ2万の人がイフタール求めてやってくるUAE最大級のイフタール・テントである。アブダビで唯一、イフタール開始の大砲が鳴らされる場所でもある。

夕方6時半すぎ、イスラームのインド人ドライバーに案内してもらいながら、巨大モスクの建物から少し離れたところにあるテントを目指す。ラマダーン期間中はモスク内の一般見学は午後2時で終了、イスラームだけとなる。

イフタールが供与されるテント。こうしたテントが全部で9個並んでいる。

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テント内はインド人、パキスタン人を中心としたアジア系の人で満杯。テントの中は空調が効いていて快適。

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4列並びの両方からアグラ座りで配置され、各人の前にイフタールの食材が用意されている。

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日没直後の午後7時10分、大砲の音が鳴り、そのあとアザーン(お祈りの開始を告げる呼び掛け)が始まり、皆おもむろに水やジュースを飲みながら食材の梱包を開けて食べ出す。中はこんな感じ。

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 ラム入りビリヤーニ(インド風炊き込みご飯)、野菜カレー、野菜サラダ、デーツ、りんご、ジュースなどが並んでいる。野菜カレーは辛くない淡白な味付けで、こちらは食べられたが、ラム入りビリヤーニの方は匂いがきつくで一口二口でギブアップ。

こうしたテントの外にも野外の食事箇所が広がっており、38℃の熱帯夜のなかで大勢の人が黙々と食べている。

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イスラームの方は、10分程度で食事を済ませるか、あるいは持ち帰りで、そのままモスクに行ってお祈りをするそうである。我々は薄暮のなか、この壮大で慈悲溢れるイフタールの現場をあとにした。

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 内外のイフタール、断食中の運動等、非日常的なラマダーンの日常を楽しんでいる。

食べて呑んで帰ってきました

日本とその隣国に業務出張で出かけた。昨年9月末に赴任して以来、UAEからの海外出張は初めてであり、 日本という意味では2月にプライベートで帰国して以来、4ヵ月振りとなる。

梅雨前のこの時期、気温は25℃前後、湿度も低くカラッとした好天気が続き、快適であった。日本の楽しみと言えば、もちろん食事。仕事、プライベートで様々な美味に出会えた。

家族で出かけた葉山のレストランでのシラス・漬けマグロ丼。これはもう芸術品。

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嫁と行った近所の山陰居酒屋での貝の酒蒸し。日本酒が進む進む。

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親会社幹部にご馳走になった鯛茶漬け会席。

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仕事仲間と行ったカウンター老舗寿司店での中トロ。このツヤに目眩が。

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山陽地方のランチでの海鮮会席。刺身がコリコリして絶妙。

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 こちらはお隣の国での焼肉。赤身の高級ビーフの甘さがたまらない。 

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まるでグルメ日記(笑)。失敗談としては、このお隣の国での取引先との会食で、この国らしい状況になって超飲み過ぎてしまい、翌日の夜まで超二日酔い状態(体中の固形物、水分を一切放出)。仕事はちゃんとこなしたけど。俺もまだ若いね。。

この夜以外にも、仕事上の会食4晩のうち、4次会、3次会、2次会、1次会(この時は電車乗り過ごして結局帰りは遅くなった。。)と夜遅くまで飲み歩き、最後はグッタリ。

こうして食の楽しさ、家族、仕事仲間との交流を存分に楽しみ、仕事もちゃんとこなして無事アブダビに帰ってきた。こちらでは夏本番間近という感じで日中の最高気温41℃が迎えてくれた。そうだ、ラマダーンの断食再開しなくちゃ。。

いま、会いにゆきます その2

いま、会いにゆきますと綴ってからほぼ4ヶ月。また会いにゆけることになった。4ヶ月は過ぎてしまえばあっという間とも言えるが、でもやはり長かったというのが実感だね。

本日は終日バタバタ。ラマダーンもあり昼抜きで仕事詰め。夕方5時過ぎに退社して、早めの夕食を取り準備して、エティハド航空のラウンジでホッと一息ついているところ。

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今回は業務出張であり、ややこしい報告もあるので、それほどお気楽帰国ではないが、それでも久しぶりの日本国。家族、愛犬との再会、昔の仕事仲間との交流にワクワクしている。鰻、ラーメン、寿司等の和食も楽しみ。

みんな待ってるかーい。いま、帰るよ!

イフタール

イフタールとは、ラマダーン月に断食した後、日没後に初めて取る食事のことである。親族友人が家に集まって賑やかに会食したり、外ではレストランがイフタール用特別ブッフェを用意し、仮設テントでサーブしたりする。

我々もイフタールしようということになった。昨日の日没前の6時40分前後、会社同僚5人が拙宅に集合。当日は全員デイタイムは断食して準備万端。

夜7時過ぎのイフタールを告げる大砲の発射の様子は、毎日テレビで生放映されるため、皆でテレビの前でその瞬間をじっと待つ。

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大砲の発射と同時に、ラマダーン・カリーム(ラマダーンおめでとう)と言って皆でビールで乾杯。俺がいつも通りサラダ、漬物、鍋類(今回は鳥水炊き鍋)の3点セットを用意し、外からインド料理(ビリヤーニ)、アラビック料理、日本料理(野菜炒め、鳥カラ、鉄火巻きとサーモン巻き)をテイクアウトで買ってきて、賑やかにイフタールの始まりとなった。

仕事の話、プライベートの話で盛り上がる間に、ビールから赤ワイン、そして親会社幹部が持ってきてくれた獺祭23度に突入、最後はお土産でもらった日本酒樽をダラダラチビチビと飲み続け、結局散会したのが0時前後であった。

ラマダーン期間中の夜、こうしたイフタールの宴がUAE中のあちこちで繰り広げられていることだろう。我々も大いに楽しんだことであった。翌朝、久しぶりに二日酔い。。

ラマダーン2日目

 17日(木)にラマダーン初日を全うし、そのあと金土日と国外で対象外となり思いっきり飲食物を全うし(笑)、本日は俺にとってラマダーン2日目。朝しっかりとご飯を食べ、昼は会議などしながらやり過ごし、夜7時まで何とか断食を成し遂げた。

夜は知人と会食ありドバイに出かけた。マリーナ沿いのアジアレストランで、イフタール風宴席を楽しむ。

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なにはともあれ、ラマダーン2日目も完遂と言えるね。

アルメニア共和国旅行記

アルメニア共和国に行ってきた。初めてのUAE国外旅行である。アルメニアにしたのは、特に深い意味があったわけではない。周りの日本人に聞くと、いわゆるコーカサス諸国に行ったことのある人の大半は、ジョージア(グルジア)であった。 

俺もそう思っていたが、ネットで安いチケットを探しているうちに、アルメニアの首都、エレバンへの往復チケットと三つ星のホテル2泊3日で、AED1,400(約42千円)というのを見つけた。アルメニアは世界で初めてキリスト教を国教に定めた国(西暦301年)で、エレバンは世界最古の都市の一つということを知り、歴史や文化が深そうと思ったこともあった。

金曜日の朝、LCCのエア・アラビアでシャルジャ空港から飛び立ち、3時間ほどでエレバンに着く。今回は事前にいろいろ調べて周到な計画を作ることなく、基本行き当たりばったりで旅することにした。

小振りなエレバン空港でチキンとボルシチの昼食を取った後、案内のお姉さんに市内への行き方を聞くと、エクスプレスというバスが安くて便利とのこと。素直に従って乗合いバスで市内中心部の共和国広場へ向かう。120円ほどだった。ホテルの位置はそこから少し北方にあったので、そこからタクシーでいったん宿に入る。この日は市内散策と決めて、ウォーキング仕様に着替えて再び市内中心部に向かって歩き出す。

気温20℃前半、爽やかな初夏の青空が広がるなか、機嫌良く坂道を歩いているうちに巨大な像が目に入り、そちらに向かう。ヴィクトリー・パークと称する広い公園の端っこに鎮座してあったのは、高さ51mのマザー・アルメニアと称する女性像であった。この下にちょっとした博物館があり、第二次大戦の記録と、アルメニアと隣国アゼルバイジャンとの紛争の記録が展示されてあった。

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久しぶりに大規模な像を見た。イスラームでは偶像崇拝禁止なので、この手の像は見ないが、旧ソ連国家にはこうした巨大像があちこちにあったことを思い出す。

さらに歩みを進めて市内の有名どころを見て回る。カスケード・コンプレックスという階段状の広場の上からの写真。ここから降りて真っ直ぐ行くと、オペラ劇場、ノース・アベニュー、共和国広場など、エレバンの目抜き通りが広がる。

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カスケード・コンプレックスの下からの写真。タバコを吸う女、というオブジェがコミカル。こうしたオプジェがあちこちに。

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ここで女性グループのヨガ実演に遭遇。

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こんなに多くの若い女性を久しぶりに見て、ちょっと感激(笑)。アルメニア女性は美人が多いという説があるが、確かにこの3日で見かけたアルメニアの女性はとても綺麗で魅力的。私見だが若い女性の90%は美人と思えた(もっとも女性を見る機会の少ないUAEで判断基準が低下しているという説も)。

共和国広場。夜7時前なのにまだ青空が広がる。この時期、日没は8時過ぎ。

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夕食をシーフードレストランで、白赤ワインで取った後、ふたたび共和国広場に戻って、有名な噴水ショーを見学。水と色と音楽の見事な競演を楽しむ。

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この日はこれで終わり。明日の過ごし方を帰途のタクシー運転手に相談してみると、山の方への半日コースのドライブを勧められ、乗ることにした。

翌日も快晴。朝8時半に宿を出てトルコ国境方面目指して南下。アルメニアのワイン畑の向こうにくっきりと見える山並みはまるで富士山が2つあるよう。トルコ領にあるアララト山で、旧約聖書のノアの方舟がたどり着いたとされる山として有名。

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右に見える建物が本日の最初の目的地、ホルビラップ修道院(Khor Virap)。その歴史は紀元前180前後まで遡るという。

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さらに山道を車を走らせること2時間。まるでアルプスの少女ハイジの故郷のような素朴な自然が広がるなかに、最終目的地のノラヴァンク修道院がある。

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片側が断崖絶壁になっていて、若者が嬌声を上げながら端を歩いている。写真じゃ分かりずらいけど、本当に怖い。

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ここの修道院は11世紀に建てられ、「愛の修道院」と言われているとか。周りを散策していたら、緑色の蛇が草をなかをスルスルと通っていった。

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帰途、修道院近くのワインセラーに寄って、ワインを試飲する。アルメニア人、ロシア人、ウクライナ人の旅行者と仲良くなって白赤ワイン、フルーツワイン、ウォトカを調子に乗って何杯も飲んでやや酔っ払い状態に。

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午後2時過ぎにホテルに帰り、ちょっと休憩後、また歩いて街に出かけて、アルメニア居酒屋で夕食。

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名物の豚肉をビール、赤ワインで味わう。

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その後、日本人コックがいる櫻田という和食店に寄ってだし巻き卵、タクワンを肴にふたたび赤ワイン。そこに来ていた日本人若者旅行者二人と旅話で盛り上がり、夜10時まで。

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最終日はアルメニアの歴史をたどったアルメニア歴史博物館に行く。この国の紀元前を中心とした膨大な歴史文化資産に圧倒され、またアルメニア人虐殺の哀しい歴史を知る。

いったん近くのアルメニアレストランでラムとアルメニアン・サラダでランチ。サラダがシャキシャしてとても美味。やはり赤ワインは欠かせない。

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最後の訪問先はアルメニア人虐殺の慰霊碑と博物館のあるアルメニア・ジェノサイド・メモリアル・コンプレックス。エレバン市街を見下ろす高台の森のなかにあって、慰霊の火の周りに大勢の人が集まっている。黙祷。

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偶然出かけることになったアルメニア共和国。

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小国で近隣の大帝国に翻弄されながらも、独自の文化、言語を背景として時には豪華絢爛な歴史、時には民族消滅危機の歴史を刻んできた国。コーカサス地方の豊かな自然のなかで、6千年前にワイン作りを始め、多様な食文化を誇る国。人懐こくてフレンドリー、美人が多い国。いやー、参りましたね。120%満足して帰って来ました。また行こっと。