anezakimanのアブダビ日記

アラブ首長国連邦アブダビ首長国に駐在になりました。そこで出会ったことを綴ります。

洟垂れ小僧

遅ればせながら、技術系プロパー社員との面談を行っている。まず技術スタッフと現場エンジニア10数名と30分程度ずつ、個別に面談している。皆さんこの道10数年のベテランぞろいで、出身国の安定した大企業を辞めて弊社に来てもらっている。

国をまたいで入社して来た動機をうかがうと、新しい環境でチャレンジしたかった、グリーンフィールドからの新たな立ち上げに参画したいと思った、日系の企業で働いてみたかった等、皆さんとても前向きで感心させられる。また、自分は短期間で職を替えるのではなく中長期で働きたい、この会社は大丈夫ですよねと熱心に訴える方もおられて、この方たちの熱意、向上心に応えてやらねばと痛切に感じた。

安定した生活を捨てて、人によっては家族を国に残して、新しいチャレンジを求めてやってきた人たちに、それに応えるような場を提供し、チームとして一緒になって汗を流し、会社としても、個人しても成長していきたい、そんなハッピーシナリオを希求し、そのために経営として何をすべきかを考え続けている。

いろいろな意思決定、些細なものからそれなりの重要なものまで、出向元の本社を向いてではなく、純粋にこの会社のためだけを考えて方向性を決めているか、同じ船に乗り合わせた従業員のハピネスと、会社として沈まずに永続的に航海できるようなバランスをどう取っていくのか、悩みは尽きない。

まあ悩んでもしょうがない。前を向いて進んでいくだけだ。不確かで曖昧な情報や環境(VUCA:Volatility, Uncertainty, Compexity, Ambiguity)の元でも、自分の直観を信じて進んでいくしかない。富士フィルムホールディングス会長・CEOの古森重盛もこうおっしゃっている(日経ビジネス2018年3月26日版より)

そもそも完全な情報などない。情報はもたらされた瞬間から陳腐化が始まる。状況は常に変化しており、情報もまた動いている。経営では、非常に複雑かつ多方面にわたる情報から直観的に正解や方向性を導くことが重要だ。

俺としてもチャレンジングで貴重な経験をさせてもらっているが、もう少し前からこういう経験を積んでおけば良かったと思っていたところ、下記の表現に巡り合った。

四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら、百まで待てと追い返せ。

ご本人も九十一歳まで生きられた、かの渋沢栄一翁の言葉だそうだ。まだまだこれからだね。