anezakimanのアブダビ日記

アラブ首長国連邦アブダビ首長国に駐在になりました。そこで出会ったことを綴ります。

日本への道•2021夏

1年前の去年の7月頃のことを思い起こす。コロナ禍によりビジネス環境がますます困難化し、またロックダウン的生活関連規制も苛烈化して、ストレスがピークを迎えていた。そのため、日本への一時帰国を熱望していた。日々変化する関連情報に右往左往しながら、日本へのフライトが再開次第、逃げるように日本に帰ったものだった。今年はまだまだコロナパンデミックによる世界苦境は続いているが、昨年よりは少し先が見通せるようになったのではないか。

個人的にはこの7・8月期に3つの私的プロジェクトを構想していた。引っ越し、海外旅行、そして放送大学修士論文の草稿完成である。まずは引っ越し。前回ちょっと触れたが、何もお気に入りの和食レストランがあるから移るわけではなく、いろいろな事情が重なって場所を決めた。こちらはまだ場所が決まっただけなので、その後のプロセスも含めて別途記したい。

海外旅行は、7月18日の週にこの国でイード休暇というものがあって、ほぼ1週間休日となる。この貴重な休みを活用して、徐々に門戸を開きつつある海外に久しぶりに行きたいとリサーチを始めた。例えばエティハド航空が7・8月の特別便として、ギリシャの観光島に直行便を運航するとか、アブダビにも新会社を設立したエア・アラビアが東欧のサラエボに直行便を就航させるとか。いったんは双方の国で自宅待機等の規制は無いとの情報であるが、昨今のデルタ変異種の流行で今後どうなるかは不透明だ。

そんな中で、一番慣れていて行きやすい海外はどこかと思案した時、それは「日本」なのだとひらめいた。親父の初盆の墓参りもしたいし、家族も待ち望んでいた。上述の公的休日と、在宅勤務を組み合わせれば、何とかマネージできる。ということで、直ぐにエティハドの往復便を予約、一気に日本帰国ムードに傾斜していった。口の悪い友人からは、また帰るんですかと言われたりしているが。。

そうして徐々に気分が盛り上がりつつ過ごしていると、7月6日に日本国外務省から時々来る海外安全に関する情報配信があった。日本への入国者に対する水際対策措置の最新情報である。出国する国によってホテルでの隔離期間が変わるのである。UAEからは3日間であり、もしかしたらこれが解除かと期待して中身を見る。

アラブ首長国連邦からのすべての入国者及び帰国者については、これまでは、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)で3日間待機いただき、入国後3日目に改めて検査を受けていただくこととしておりましたが、令和3年7月9日午前0時からは検疫所長の指定する場所で6日間待機いただき、入国後3日目及び6日目に改めて検査を受けていただくことになります。

なんと、7月9日入国者から、これまでの3日間のホテル待機が6日間に延長になっているではないか。なぜ、どうして今、UAEがこうなるのか。確かに新規患者は1,500後半台のままだが、死亡者は一桁のままだし、ワクチン接種も進んでいる。なにもこの時期に倍にされる理由が見当たらない。。

ちなみに同じ配信の中で、エストニア、ナイジェリア、フランス、ルクセンブルク、米国とカナダの一部の州は、これまでの3日間待機が空港での検査が陰性であれば、待機無しと決定されたとある。これらの国とUAEは何がどう違うのか。科学的根拠を示せと言いたくなる。

邪推すれば、日本とUAEはそれぞれオリンピック・パラリンピック、万博と近々大きな世界的イベントが控えていて、なるべく海外からの入国者を押さえたいと思ってもおかしくない。そんな思案が一致したのか。そう思うと、今度は日本がUAEのグリーンカントリーから外されたらどうしようと暗くなる。まあ innsha-ra、先のことは考えないでおこう。

いずれにせよ、あの狭いホテルの部屋に6日間も閉じ込められるとは。オーマイガー!である。情報を受け取って10分ほどは、もしこの日の夜行便で出国すればギリギリ間に合うなとの考えもよぎったが、それはやはり無理な話であった。

さらに至近で追い打ちをかけたのが、東京の緊急事態宣言の再開と店舗でのアルコール供給禁止である。また日本での仕事関係の同僚や仲間との会食はダメになりそうだ。やはり日本への道はいつも険しく、難路だなあ。それでも帰りたいということだけどね。

いったん落ち込んだ気持であるが、最近はホテルでの6日間の監禁中に、第3のプロジェクトである修士論文を仕上げてしまおうと決意を新たにしている。