アルバニア共和国旅行記・前編
アルバニアという国に行ってきた。2頭の鷲と真っ赤な背景の国旗が特徴的で、日本の四国の1.5倍ほどの中欧の小国だ。
戦後の独特の政治体制のせいもあって欧州最貧の国と称され、またある本によると日本人が訪れる可能性は5%といわれるようなマイナーな国である。
俺もこの国に特別な想いがあったわけではない。Wizz Airがアブダビから直行便を飛ばしている欧州の国の一つであり、複雑多様な歴史、豊かな自然、そして物価の安さという3拍子揃った場所のような印象を持ち、直感的にチケットを買い、週末をはさんで3泊4日の週末弾丸バックパッカーの旅となった。
結果的には上記3つがまさに実感できた、充実した旅となった。さらに今年のこれまでの旅は中東・アジアだけ(サウジアラビア、ウズベキスタン、タイ、ラオス、インド)であって、昨年12月のイタリア以来の欧州であった。たとえ最貧国であったとしても、開放的な欧州の香りが十分感じられた。
今回の行程は、首都ティラナを起点としてギリシャ国境に近い南端のサランダ、そこから北方70キロほど上がったジロカストラ、そしてティラナに戻るという3都市を巡るものであった。以下、時系列的に前編(サランダ、ジロカストラ)、後編(ティラナ)と綴っていく。
金曜日(イスラーム暦新年の祝日)
3連休初日とあって空港は混雑していたが、定刻通りアブダビ空港を発ち、夕方にアルバニアの首都、ティラナ空港到着(飛行時間5時間ちょっと)。そのまま空港発のバスに乗り、市中心部のスカンデルベグ広場近くのホテルにチェックイン。
『地球の歩き方 中欧』で紹介していた地元料理屋で夕食。
早めに行って一人だったので座れたが、金曜夜で人気店らしくあっという間に一杯となった。
野菜スープと地元風に煮付けたラム肉を、ビール、ワインと一緒に楽しんで初日終了。
土曜日
鉄道網がイマイチということで、都市間の移動はすべてバスに頼ることになった。ティラナからサランダへの移動は、今回最長5時間のバスの旅。違う都市間の長距離バスのターミナルは市の郊外にあり、そこへも市内バスで向かうのだが乗り過ごしてやや焦る。
何とか10時発のサランダ行きのバスに乗り込む。結構立派な大型バス。
車内は満員。隣の席のノルウェー人の若者と時々お喋りしながら、車窓いっぱいに広がる緑を眺めたり、
うとうとしたり、持参した iPadで読書しながら過ごす。途中ランチ休憩で、ドライブインのようなところで食べたサラダ、スープ、豚肉料理もまあまあ美味しい。
そうして午後3時、アドリア海沿いのビーチリゾート、サランダに到着。ビーチは人でいっぱい。
俺はビーチに関心はなく(アブダビの家の前にあるからね)、今回サランダまで来た目的は世界遺産のブトリントという古代都市遺跡群。古代ローマの叙事詩に出てくるような古代ギリシャの歴史から始まり、ローマ時代の医学の神を祀り、ローマ式浴場や劇場跡が残り、その後キリスト教の神殿、さらには近世ベネチア時代の城なんかもあったりする地中海世界の歴史の宝庫なのだ。
市中心部のホテルにチェックイン後、さっそくまたバスで移動。突然仕事帰り風の女性の大群が乗ってきてバスのなかは女だらけ。。
40分ほど南に下り、ブトリント遺跡公園に到着。この旅中そうだったが、日中は南欧の熱波で野外は40℃近くになり、まるでアブダビにいるみたい。しかも全体的に屋内のACの効きがよくない。。それでも元気にこの遺跡の塊のような島を隅々まで2時間ほどかけて見学、これは歴史好きには堪らないね。
まずはベネチアの砦がお出迎え。
ローマ時代の劇場とお風呂。
なかにはちょっとした博物館もある。
これが島の全容(上は13世紀、下は14-16世紀のベネチア時代のもの)。
アドリア海沿いで木々の緑がまばゆい。
夜7時過ぎに市内のホテルに戻り、シャワーを浴びて夕食。この海沿いの町はシーフードで有名で、さっそくホテルにお薦めのレストランを聞いて行ってみる。イタリア食の影響強いとあってシーフードバスタ絶品。
喧騒の続くビーチ沿いを散策しながらホテルに戻って就寝。2日目も満足のうちに終了。
日曜日
朝一番の7時15分サランダ発ジロカストラ行きのバスに飛び乗り、30分ほど乗ってこの地域のもう一つの目玉であるブルーアイで途中下車。ここは緑あふれる小高い丘の自然公園で、水深50メートル以上の泉の底から、透明度の高い澄み切った水がこんこんと湧き出てくることで知られている
湧き出てくる真っ青なブルーアイを上から眺める。
キンキンに冷えた泉に足を入れて涼んだり、
周辺の山道を散策しながら1時間半ほど過ごす。
本日も気温は高いが、森の中の木陰は風もあって涼しい。心と体が洗われるよう。こうして自然に癒されて、まだバスに乗り込み、本日の最終目的地、ジロカストラに向かう。
ジロカストラは、オスマン帝国時代の石造りの街で世界遺産となっている。小高い丘の頂点にジロカストラ城をいだき、そこから下る地区に多くの家々が連なっている。
こじんまりとした旧市街の中心には、お土産屋が軒を並べている。
ここで予約していたホテルも石造りで、とても感じの良い空間であった。
ちょうど昼頃になったので、バスのなかで出会ったドイツ人カップルに紹介してもらった地元料理の店に行く。しゃきしゃきサラダに地元ビール、
しめは名物のミートボールのヨーグルトかけ。
料理を堪能し、ビールとワインの飲みつつ、そこのご主人らとお喋り。
お勘定をして店を出ようとすると、これを飲んでいけ、ただで良いからと言われ、蒸留酒のラクアを一杯いただく。有難かったが、このおかげで午後の観光に少しふらつきが。。
ジロカストラ城をはじめとして、民俗学博物館やこの国を代表する文学者、イスマイル・カダレの生家をベースにした記念館などの観光拠点を廻り、さすがに疲れてホテルに戻って一休み。夕食は近くのホテルの野外レストランで街を見下ろしながら、再び地元料理、ビールとワインに浸る。
濃厚な野菜スープに、
ポークソテーのヨーグルトかけ。素朴な地元食材を堪能する。
翌朝早い出発のため、9時過ぎにはベッドに入る。後編につづく。