anezakimanのアブダビ日記

アラブ首長国連邦アブダビ首長国に駐在になりました。そこで出会ったことを綴ります。

日本を想う

新型コロナについて、報道で見聞きする直近のデータを元にUAEと日本を比較考察してみたい。下記は本日現在の数値である(UAEは当局公表数値、日本は日経新聞記事)。

UAE 累積患者数38808人、死者276人(死亡率0.71%)、治癒者数21806人(治癒率56.2%)

日本 累積患者数16979人、死者923人(死亡率5.44%)、治癒者数15035人(治癒率88.6%)

UAEの人口は1千万人弱、日本の8%くらいしかいない。一方累積患者数は日本の倍以上あり、人口比では桁外れに多い。しかも足元でも毎日500から600人の新規患者が発生してる。ただしその死亡率の低さから分かるように、かなりの患者が症状無し、もしくは軽症である。

これはUAEというお国柄、海外からの出稼ぎ労働者が人口の8割を占め、さらにそのうちの大多数が単純労働を担っている労働者であり、3密そのものの生活環境で、そこをUAE政府は集中的かつ強制的にPCR検査を実施していることがある。UAE政府公表によれば、連日2-3万人規模の検査を実施していて累積では2百万人を超えているという。人口の2割以上が検査済みということになる。弊社の従業員全員が検査させられたことを思うと、この数値に違和感はない。

一方日本はいろいろと報道されているように、安倍首相が1日2万件の検査を目標として掲げつつも、足元は2-3千件の実績とのこと。このPCR検査体制の不備や結果としての検査件数の少なさが、海外から不安視される要因になっているようだ。

こんなデータがあった。日本(上から3つめ)は検査の全体数も人口100万人当たりの数も極めて少ない。

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でも人口比患者数の圧倒的な少なさ、治癒率の高さを考えると日本は凄い。国民の公衆衛生に対する意識の高さ(俺も小さい頃から外から帰ったら手を洗えとしつこく言われたものだ)、健康的な食生活、温暖な気候、四季折々に外に出て自然と触れ合うことなど、結果として世界最長寿の健康国であり、BCG説は別としても新型コロナに対抗できる免疫力の高さは世界最強ではなかろうか。

日本のメディアは政府の対応の拙さや、国民の自制心の無さを声高に叫ぶが、海外から比較論的に見ると、日本ほどうまくいっている国はないとさえ思う。『全世界史』で出口治明さんが言っている下記に共感する。

問題点を指摘することは比較的たやすいことです。どの世界にも歪なかけらが山ほどあるからです。しかし大事なことは、全体としてのシステムの安定性です。人間社会とはいつの世にあっても、歪なかけらが集まって、一つの安定状態を形成するものなのです。したがって、どのようなシステムや制度であっても、「個々の歪み」ではなく、「全体として見たときに、比較的丸く収まっているかどうか」が決定的に重要です。

国内にいろいろと矛盾や歪みがあり、現状に満足せずにいろいろな課題に取り組むべきだけど、日本は全体としてはとても丸く収まっている国だと、異国にいると思う。要するに早く帰りたいということかもね(笑)。