anezakimanのアブダビ日記

アラブ首長国連邦アブダビ首長国に駐在になりました。そこで出会ったことを綴ります。

凛として旅立つ

日本から戻ってきて12日が過ぎた。ここまでUAE官製ソフト、Al Hosnに監視されながら基本自宅での Self Isolation を守っている。家周辺の散歩や買い物は寛容の精神で取り扱っていただけると信じながら(笑)。

この間、毎朝の体操と近隣散歩の励行、そして3日連続含む6日間の断酒で確実に健康状態は良化。体重、血圧ともにほぼ元に戻った。メンタル面も、当初は日本で家族とたっぷり時間を過ごした後だっただけに、2週間一人ぼっちの自宅軟禁状態で喪失感に襲われた。しかしいつまでグチグチ言っていても仕方ないと割り切り、前向きになってきた。

それを応援してくれたのが二人の歌姫だった。突然、司馬遼太郎原作でNHKで放送された名作『坂の上の雲』を観たいと思い立った。

 40歳代前半のころ、原作の文庫本全8巻を圧倒的感動で読み、ほぼ10年前にNHKスペシャルドラマで放送された同作品は、明治維新後、まだ小国だった日本がロシアを破った日露戦争という歴史を縦糸に、秋山好古・真之兄弟、正岡子規の3人の青春群像を横糸に織り交ぜた司馬作品の超傑作だ。

この大作ドラマは、2009年から2011年の3年間に渡って12月だけ放送するという異例な形を取り、この間は毎年12月が楽しみだった。原作に忠実でキャスティングもベスト(このドラマで東郷平八郎元帥役だった渡哲也さんの訃報に昨日接しました。謹んでご冥福をお祈りいたします)だった素晴らしい映像に酔い、雄大な主題歌とエンディング曲にも魅せられた。そしてこの明治期の日本人の精神の一途さ、潔さ、謙虚さが、今の俺の精神風景の欠けている部分にヒットしたのか、猛烈に観たくなった。

残念ながらNHKの有料アーカイブ放送はこちらではVPN経由でないと見れないらしく、仕方なくYouTubeで関連映像を漁っていたら、ドラマ主題歌「Stand Alone」を歌っていた二人の女性自衛隊員の映像に出会った。 

 海上自衛隊の三宅由佳莉さん。その渾身を込めた迫力満点の歌いっぷりに圧倒される。

陸上自衛隊の鶫(つぐみ)真衣さん。心の底まで響く爽やかな歌声、この映像は地元金沢で歌っている途中に万感の思いからか涙。思わずこちらまでもらい泣きの号泣。

作詞小山薫堂、作曲久石譲のこの名曲は、ソプラノ歌手、森麻季さんのサントラ盤がオリジナルらしいが、自衛隊合唱団の演奏で自衛隊の二人の歌姫が歌うと、原作のドラマが想起されて、俺の感情の琴線に触れてくる。

♬ 迷い悩むほど 人は強さを掴むから 夢を見る ♪ 凛として 旅立つ 一朶の雲を目指し

♬ 私は信じる 新たな時がめぐる ♪ 凛として 旅立つ 一朶の雲を目指し

こうした歌詞を聴くたびに、感動の渦である。このカタルシスにも背中を押されながら、もうじき本格的に戦線に復帰したいと思います。そういえば、本日は75回目の終戦記念日だね。